わかりやすくはむずかしい



2016年3月28日


3月は別れの季節。

二度と会わないこともないけれど、信頼していた仕事仲間が、異動によってこれまでのような関わりがなくなるのは、やはり、さみしいことです。

毎日小学生新聞でお世話になっていた上東デスクも、4月より毎日新聞に異動。3月26日(土)の毎日小学生新聞にて、最後の編集後記を書かれました。

以下、一部抜粋です。ーーーーー毎小での勝負どころは、わかりやすいこと、見やすいこと、朝届いた新聞を見て子どもたちに「これ読みたい」と手にとってもらえること。5年間、部員といっしょに悩んだり工夫したりしながら、紙面作りをしてきました。気づいたのは、「わかりやすく書く」ことは、「難しいことを難しく書く」大人の新聞を作るより、ずっと難しいことです。ーーーーーー

私ももとは大人向けの雑誌やムック、書籍の編集&記者として仕事をしてきたので、児童書に関わるようになって、「わかりやすく書く」難しさに直面しました。

児童書は、グレード別(低学年、中学年、高学年向けなど)になっています。それは、発達段階に合わせた表現にしているから。

大人であったら、喜怒哀楽の複雑な感情もわかりますし、経験から読み取れることが多いです。

反して、年齢が下がれば下がるほど、感情が未発達で、経験が少ないため、ストーリーの内容や表現もある程度の制約があり、難しさも増していきます。

その制約のなかで、これまでにないストーリー展開で、ともすれば、人生哲学になるようなことも含めて、対象とする年齢に伝わるよう表現するというのが、本当に難しい。

けれども、難しいからこそ、やりがいがあります。

私は時々、名作の再話の仕事をしていますが、子どもの頃に読んだ本を読み返して、はっとすることが多々あります。

登場人物の背景にあるものや、深い感情などが、この年齢になったからこそ、よくわかるのです。

子ども向けに書かれたものだからといって、内容が薄いわけではないのです。

きっと、子どもの頃も、わからないなりに、なにかを感じていたのでしょう。だから、名作として読み継がれてきたのではないかと思います。

子ども向けの読み物を大人が読むと、その時々でぶつかっている問題や悩みを解消するヒントがあったり、その時に欲しかった言葉が見つかることがあると思います。

大人の方にも、子ども向けの新聞や本をぜひ読んでもらいたいなあ。

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