ガラスのくつ


2015年4月21日


かぼちゃの馬車に乗って、舞踏会に参加したのはすでに過去。
シンデレラの朝はこれまでと同じく、暖炉の灰をかき出す仕事に始まりました。

(こうして、変わらない毎日を送っていくんだわ……)

シンデレラがため息をついたそのとき、ドアが開きました。

「王子さまが、ガラスのくつが合う女性を探しておられます。
あなた方も合わせてください」

執事がガラスのくつを持ってきたのです。

お姉様方は早速、足を入れましたが、入りません。

「さ、あなたも」
執事がシンデレラの前にくつを置きました。

トクン。

シンデレラの胸が高鳴りました。
(これで、私もやっと、つらい毎日から解放される。
夢に見た生活が始まるんだわ)

そっと、くつに足を入れると……、
「あ、あれ?」
どういうわけか、入りません。

慣れないくつをはいて、ダンスをしたので、足がむくんでいたのです。
「うそっ」
シンデレラは足をぐいぐい押し込みましたが、やはり入りません。

そこへ、王子さまがやってきました。
「セバスチャン、どうだい?」
執事は首をふりました。
「ここで最後でしたのに、くつが合う女性はいませんでした」
「そっか、この国の人ではなかったのかな……」

シンデレラと目が合っても、王子さまのがっかりした表情は変わりません。
王子さまの記憶にあるのは、着飾ったシンデレラだったのです。

プチッ!
シンデレラのなかで、なにかが切れる音がしました。

(結婚したいなら、顔ぐらい覚えとけや、このボケがあ!)

王子さまが去った後、シンデレラは目が覚めた思いがしました。

(私はいったい、何を待っていたのかしら。
玉の輿に乗れば幸せになれるなんて、ファンタジーだわ。
人生に棚ぼたなんてない。
今を変えたいなら、自分の力で変えなきゃ!)

それから、シンデレラは、くつを作る仕事を始めました。

そのくつは、女性の足にやさしくフィットすると評判になり、
飛ぶように売れました。

やがて、シンデレラは気の合う靴職人といっしょにくらし、
さらに、くつの製産・販売を拡大していきました。

今では、「シンデレラ」は、国内外に広く知られる、くつのブランド名となっています。

めでたし、めでたし。

IMG 0466


katuo,ari sasaki