お金を生む洗濯機


2014年5月3日


景気が上向きになりつつあると発表された頃、まずしい物書きの家がありました。おじさんも、おばさんも、おおむね正直で、それなりに一生懸命に働いていましたが、暮らしはなかなか上向きにはなりません。

そんなあるひ、ガラガラガラ……。

洗濯機から異音がするではありませんか。

のぞいてみれば、洗濯機の底に1円玉があります。

おばさんは声をあげました。「なんと不思議なこと!」

次の日も、またガラガラガラ……。洗濯機の底には、1円玉が2枚ありました。

おじさんは目を丸くしました。「増えたぞ!」

次の日、洗濯機の底にあったのは5円玉でした。おじさんとおばさんは、喜びました。「お金を産む洗濯機じゃ」

このままいけば、お金がどんどん増えていく……。ふたりはそう思いました。

ところが、次の日は異音がしません。のぞいてみれば、紙くずがぐちゃぐちゃになって、洗濯物に張り付いています。ふたりはがっくりと、ひざをつきました。「そうか、紙幣は溶けてしまうのか……」

それは、紙幣ではなく、ティッシュペーパーだったのですが、欲に目のくらんだふたりには、お金としか見えなかったのでした。

おしまい。

※このお話は、おおむねノンフィクションです。





さて、毎日小学生新聞「エンタメアワー」の記事を書かせていただきました。NHK Eテレの「フック ブック ロー」で平積傑作役を演じていらっしゃる、谷本賢一郎さんにお話をうかがいました。

子ども番組の作り手のお話は、私の仕事に返ってくるものがありました。子どもに、なにをどう伝えるのか。丁寧に番組を作る姿勢に、私もそうあろうと思いました。

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katuo,ari sasaki