装丁を愛でる

その昔、レコードの“ジャケ買い”なんて言葉がありましたが、

私はときおり、本の“ジャケ買い”をします。


多くの本は図書館で借りていますが、

内容のおもしろさに加えて装丁が美しいと、

永久保存版として、手元に置いておきたくなるのです。


昨夏、読んで以来、何度も読み返している

『ペンギンハイウェイ』(森見登美彦・作)は、

物語の世界はもちろんのこと、装丁も大好きで、

いつも机に置いて愛でています。

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まず、ジャケットの絵。

ペンギンたちのよちよちした仕草がかわいく、

でも、どことなく哀愁ただよう、この空気感。

手すりに、インコがとまっている(物語には関係なし)のも、

さりげないポイントとして、目をひきます。


ジャケットをめくってみれば、一面、白の表紙。

端から、ペンギンたちの歩く後ろ姿があり、

小さくタイトルと作者名が入っているのですが、

余白の使い方がとにかく上手いんです。


扉はなんと、銀一色。

トーンの異なる銀色で、タイトルと作家名と出版社名が入っていて、はっとさせられます。


さらに目次。

余白をいかしたレイアウトに、心がくすぐられます。


と、どこもかしこも、ツボに入りまくりです。


こんなすてきな装丁をされたのは、どなたかしら?と

クレジットを探したら、「鈴木久美(角川書店装丁室)」とありました。


あらためて思います。

本はまるごと一冊が、作品なんだと。


装丁でいえば、イメージに合うよう紙質から選ぶわけですし、

レイアウトも書体も、紙の手触りもすべてが互いに作用しあって、

ひとつの世界観を創り上げているんですよね。


この味わいは、電子書籍では表せないです。


電子書籍に向いている本もありますから、それはそれでお手軽に読めていいのですが、

作者が創り出す世界にどっぷりつかるなら、やっぱり、手触りごと楽しめる書籍が

いいなーと思います。


そして、私もいつか手元に置いておきたくなるような本を出版したいなーと、思うのです。





ari sasaki