いとをかし!百人一首2


『いとをかし!百人一首2 紫式部がトツゲキ取材』

光丘真理/作 甘塩コメコ/絵(集英社みらい文庫)630円


百人一首クラブの新人である小4のスズと、小6で部長のナリが

平安時代へタイムスリップして、歌人たちとふれあうという、

『いとをかし! 百人一首 平安時代へタイムスリップ』の第二弾。


タイムスリップはふたりの秘密だったはずが、ナリのお父さんに知られてしまう。

お父さんは日本文学の大学教授で、平安文学をこよなく愛する人。


和歌や文学の書き手に実際に会えると聞けば、いてもたってもいられず、

平安時代へ猛進してしまう。

当然、ナリとスズも追いかけるわけだが、聞こえてきたのは紫式部の悲鳴……!?


と、強烈ながらも愛すべきキャラクターが加わったことで、

物語は前回よりもさらに加速して進んでいきます。


一方で、歌に込められた思いについては丁寧に紐解かれ、

後になって、そうだったんだと気づかされる場面も設けられています。


それにしても、恋の悩みというのはいつの世も変わらないものですね。

この時代の女の人は「待つ」だけの恋愛を強いられていたと思いきや、

歌で攻撃をしかけたのだとわかって、スカッとしました。


知的なやり口だけに、よけいに爽快感があるってもの。

目下、恋愛中の女子が読んだら、励みになるんじゃないかなー。


また、コメディタッチなやりとりに笑いながらも、

平安時代の人々が短い人生の中で精一杯生きていたことを知り、

しんみりした気持ちにもなりました。


光丘真理さんの他のご著書を読むと、

いつも、どこかに「命の尊さ」を感じさせるものが流れているのですが、

この作品にも光丘さんの思いが反映しているなと感じました。


単なるエンタメにとどまらないのは、時代風俗の描き方にも表れています。


女性の位や生活の様子が生き生きと描かれていて、

古典文学では想像するのが難しかったところも、目に浮かんでくるようでした。


資料をかなり読み込み、自分のものとして頭の中で描けるまでに消化していないと、

このように自然な流れで、楽しく感じさせるようには描けないでしょう。


作者の筆力にただただ、すごいなーと感服しました。





ari sasaki