3人のパパとぼくたちの夏


『3人のパパとぼくたちの夏』

井上林子/作宮尾和孝/絵 (講談社)1300円+税

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主人公は、お父さんとふたり暮らしの小学6年生の男子めぐる。

家事をこなすうちに、家庭科の成績は「よくできる」が定番になった。

でも、本当は体育で「よくできる」をとってみたいし、

親友から「主婦」と言われるのは、うれしくない。


お父さんが家事をさぼり、台所のゴミにハエがたかったのを見て、

めぐるの怒りは頂点に達する。


夏休み初日に自転車で家出を決行。

でも、冒険が始まるようでわくわくしたのは最初だけ。

大小様々なトラブルと、元気な女の子たちとの出会いがあって……。


ただでさえ、思春期の入口の小学6年生は、気持ちがまとまらず、

あっちやこっちに乱れるもの。

その多感な時期を、シングルファーザーと過ごすとなれば、なにもなくはないだろう。


子どもでも大人でも真面目なほど壁にぶつかりやすいし、落ち込みやすい。

考えれば考えるほど、堂々巡りで解決策も見つからなくなる。


でも、解決しなくたっていいこともあるんだね。

大人も子どもも、人としては未完成なんだから。

悩み、悔やみ、落ち込みを繰り返し、手探りで生きていくということでは同じなんだから。

そのまんまの気持ちを出せばいいんだよ。


たまに他の人がうらやましくなることもあるだろうけど、

自分にしかない良さもあるし、自分たちだけの家族のかたちがあるんだよ。


そんな、あたたかいメッセージが伝わってくる。


家族関係でつまずいたときこそ、読んでほしい本。




ari sasaki