いただっきー! 


『いただっきー! 〜昭和へのタイムスリップ〜』

KHODS(子どもの本大好き)編著 (銀の鈴社) 1600円+税

itadaki

日本児童文芸家協会会員有志による創作ユニットKHODSが、

戦後の「衣」「食」「住」「遊び」「行事」をテーマに書いた物語。


「ワンピースのメロディ」 作/かとうけいこ

新しいワンピースを着て、修学旅行に参加したいと思う女の子。そこには、淡い恋心も見え隠れして……。きれいな服を着ると、少し自信が持てる。勇気を出して、いつもならできないことにも挑戦してみようという気持ちになる。そんな女の子の気持ちが、さわやかに描かれます。


「思い出の味アイスキャンディー」 作/大川すみよ

一般家庭に冷蔵庫がなかった時代。アイスキャンディーの製造・販売を家業とする家の女の子と、引っ越してきた女の子との友情物語。アイスキャンディーを作る様子はおもしろく、子どもだったら、だれもがここの家の子になりたいと思うのではと思いながら読みました。


「二人の作戦」 作/すずきたかこ

近所の友だちの家が、土間から板の間の台所に改築したのを見て、うらやましく思う女の子と男の子。ふたりは親に改築をすすめようと、画策をして……。世の中が大きく変わっていく様子が、住まいにも表れています。子どもの素直な反応が、ほほえましいです。


「いただっきー!」 作/だんちあん

べったんで負けてばかりの男の子。来る日も来る日も、べったんのことばかりを考えて……。友だちとの微妙な力関係、夢中になっているものがうまくいかないと、ほかのことにも身が入らない様子など、"男の子らしさ"が生き生きと描かれています。


「祭りばやしが聞こえる」 作/はせべえみこ

「虫おくり」の行事、八幡神社の宵祭りなど、世代の違う人たちとの交流により、奥手な少女が大人の世界を垣間見る様子が、初々しく描かれます。昭和映画に共通するような情緒が感じられて、余韻が残りました。


いずれも今の子どもが読んだら、

ちがう国の文化を知るような目新しさを覚えるかもしれません。


とはいえ、子どもたちの思いは、今も昔も変わらず、

好きなことにのめりこんだり、

友だちと競ったり、助け合ったり。

その場の思いつきで行動し、

なにも考えていないようでいて、大人の様子をしっかり見ているのでしょう。




ari sasaki