林業少年


『林業少年』

堀米薫/作 スカイエマ/絵(新日本出版社)1575円



山持ちとして代々続く大沢家。

農業と林業の両方をやっているので「農林家」というが、

大沢家の長男である喜樹でも、そんな言葉は知らなかった。


今や、林業は赤字産業になっているという。

輸入材が入るようになってから木材の価格は下がり、

木を切り出して売るほど赤字になる。


それでも山の手入れをやめない祖父の庄蔵に、家族は冷たい目を向ける。

だが、ある時、百年杉を欲しいという客が訪れた時、庄蔵の様子が一変した。


先祖から受け継いだ山を守ってきた誇り。

自分が死んだ先も見据えて木を育てる覚悟。


それらすべてを背負った庄蔵の姿に、喜樹は“山の勝負師”の気迫を感じる。


物語では、山が持つ人間の力なぞ跳ね返すような厳しさが描かれる。

厳しさは神聖さとなって、主人公の喜樹を通して読む私たちにも迫ってくる。

なかでも、杉を切り倒すシーンは圧巻だ。


山全体を揺らす音に、体をふるわす振動が伝わってきて息を飲んだ。

思わず「すごい」とつぶやいてしまったほどだ。


読むうちに山の圧倒的な力に魅了された。

一方で、日本の山を守ることがこんなに難しくなっているということを知って、とまどった。


日本の山がだめになったら、生態系が壊れたら、どうなるんだろう……。


物語が暗示する未来には希望がある。

だが、同時に簡単にはいかない問題を投げかけてもいる。


読後、ずしんと重いものを受け取った気分になった。













ari sasaki