ミルクが、にゅういんしたって?!


『ミルクが、にゅういんしたって?!』

野村一秋・作 ももろ・絵 (くもん出版)1200円+税

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ミルクはクラスで飼っているハムスター。

飼育係のしんちゃんは、休み時間にミルクの世話をするため、

遊びにも、トイレにも行きません。


そんなしんちゃんのがんばりを見守り、

秘かに応援していたのは、引っ込み思案のなっちゃん。


しんちゃんとなっちゃんは、ミルクを家に連れて帰って世話するとき、

いっしょに遊ぼうと約束します。

けれども、週明けの月曜日、事件が起きて……。


生き物を飼う喜び、悲しさ。

悲しみを前にしたとまどい、悲しみからくる怒り。

いろいろな思いが交差するなかで、なにを見てどう行動するのか。


やわらかい言葉で綴られていますが、

人の性(さが)がとてもよく表れている物語です。


この本を読んで思ったのは、

相手を思いやるが故に行き違ってしまうこともある。

このことを、最近、忘れがちなのかもしれない、ということでした。


ネット上は、様々な正義にあふれていて、

悪者を決めつけて、つるし上げる様子も見られます。


それは、だれかを、なにかを「かわいそう」と思うやさしさから来ているのでしょうが、

一方ばかりを見て、他方の気持ちに気がつけないこともあるように思います。


自分の正義を振りかざすばかりでなく、まわりを見まわしてみたら、

ちがうものが見えてくるかもしれないよ。

そんなことも、やんわり伝わってくる物語でした。


簡単に情報をシェアして拡散できてしまう時代だからこそ、

子どもたちにはなっちゃんのような目線を心に留めておいてほしい。


スポンジのように多くのことを吸収できる子どもの頃に、

この物語を読んでもらいたいなと思いました。



















ari sasaki