モーモー村のおくりもの


『モーモー村のおくりもの』

堀米薫・作 岡本順・絵 (文研出版) 1200円+税

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モーモー村の本当の名前は、百々谷村。

人より牛の数のほうが多い村に、美咲は1年間の約束で引っ越してきました。


数年前にママを亡くした美咲は、ママの思い出が残る家を離れたくなかったのです。

けれども、獣医のパパがモーモー村の家畜診療所で働くため、

1年だけ、モーモー村でくらす時間をくれと、美咲にたのんだのでした。


モーモー村でのくらしは、美咲にとってははじめての体験ばかり。

牛のお産、棚田のホタル、稲の花、だんごさし……。


季節が移ろうなかで、自然とともに生きることを実感する日々。


農村でしか感じられない、すてきなものが次々に登場して、

私も美咲といっしょに、どきどきしたり、わくわくしたりしました。


私は旅に出ると必ず、ここで暮らしたら、どんな毎日になるだろうと考えます。

東京で感じている価値観が、まったく変わるのかもしれない。

それは期待であり、あこがれです。


同じ場所にずっといると、こうでないといけない、という枠の中に

自分を押し込んでしまいがちです。


でも、ちょっと場所を変えるだけで、そんな枠などいらなかったのだと、

気づかされることがあります。


美咲はママを亡くしてから、ずっと、家族の空席を見つめていたのでしょう。


けれども、モーモー村に来て、失ったものよりも、自分で育てていくもの、

増やしていくことに、目が向いたのです。


読者が、美咲といっしょにモーモー村を体験したら、

なにか心のなかにふくらむものを感じると思います。














ari sasaki