あめあがりの かさおばけ


はじめてよむ こわ〜い話『あめあがりの かさおばけ』

森川成美/作 鈴木アツコ/絵 (岩崎書店) 1100円+税

33179314


雨上がりは傘の忘れ物が多くなる。

電車のアナウンスで、たびたび聞きます。

そんな日常のできごとが、ユーモラスな怪談?になっています。


下校時、お気に入りの傘をなくしたまいちゃんが泣いていると、

うえから、おばけが現れました。


ツカイ・ステーは礼儀正しい……いえいえ、折り目正しい、かさおばけ。

その立ち振る舞いがユニークで、なんとも愛らしいのです。

おかげで、おばけの話なのに、読んで楽しく、わくわくしました。


なくなった傘はどうなったのか。

どうして、突然なくなることがあるのか。


日ごろの疑問に答えるような展開に、

もしかしたら、本当にそうなんじゃないか、

そうだったら、いいなと思いました。


胸にひびいたのは、ツカイ・ステーのセリフ。

「おばけには、おばけの じんせいが あるので ございますよ」


自分の常識で物事をとらえていると、理解できないことがたくさんあります。

そんな視点がこのセリフにちらりと現れていて、

深いなーと、うなってしまいました。


既刊の『くものちゅいえこ』でも感じましたが、

森川さんの童話はやさしい言葉で、大人の胸にも染みるよう表されていて、

読み終わったあと、しんみりした気持ちになります。


子どもたちは読み返すたびに、

物語の中に流れる言葉に以前とはちがう意味を感じるのではないかな、

と思いました。


寒くなる怪談ではなく、ぬくもりの残るおはなしです。


ari sasaki