兄ちゃんは戦国武将!


『兄ちゃんは戦国武将!』

佐々木ひとみ・作   浮雲宇一・画  (くもん出版) 1300円+税

niichansenngoku


夏休み、小学5年生の春樹は仙台のおじいちゃんの家に行く。

一番の目的は、伊達政宗に会うため。

伊達政宗を演じているのは、11歳上の兄。

春樹は、家に連絡をよこさなくなっていた兄に反発する気持ちがあって……。


東日本大震災から生き方が変わった人々の

それぞれの思いを描いた作品です。


いまはネット上でも批判されることが多々あるので、

自分の本気を見せたり、発信したりするのにとても勇気がいります。

傷つきたくなかったら、自分を抑えておとなしく、

まわりに溶けこむようにしていたほうが無難でしょう。


それだけに、本書のなかの言葉——兄ちゃんのセリフに胸をつかれました。

「杜乃武将隊の一員として活動しているうちに、思ったんだ。

ひとりでも、ふたりでも、武将隊を見て元気になってくれる人がいるのなら、

やろう! って」


この言葉に惹かれたのは、私自身、震災によって書くことに迷いがでたからです。


児童書を含め、小説や音楽や映画やマンガやアニメや舞台といった娯楽は、

生きるのに絶対に必要なものではありません。

特に命を左右する緊急時には、まったく必要ありません。


けれども、生きていくのにまったく必要ないのかというと、そうではなく、

人それぞれに心の支えとなる、生きるのに必要なエンタメがあるのかもしれない……。

そう思うようになったのは、震災からだいぶ経ってからでした。


春樹は仙台でいろいろな人に会ううち、

戦国武将を演じる兄ちゃんの見方が変わり、

春樹自身も変わっていきます。


その様子に、私も勇気をもらいました。

発表する限り批判はついてまわるけど、

ひとりでも、ふたりでも元気になってくれる人がいるなら、

書いていこう! って。





katuo,ari sasaki