扉をあけると。Ⅱ


『扉をあけると。Ⅱ』

紙ひこうき 編著 (銀の鈴社) 1200円+税

9784877866235


「紙ひこうき」同人による、アンソロジー。

幼年から一般向けまで、楽しかったり、心に染みたり、個性豊かな作品が収められています。


1「あ。きえた……」児島まみ 作

舞台は、羽田空港国際線ターミナル。

作業服を着たおじさんが掃除機を持って、歩いている。そのおじさんに掃除機を向けられた人が、消えて……。

空港は、どこか特別な空気があります。

そこにいる人々が日常とは異なる目的や、胸に秘めた思い出があるからでしょう。

そんなことを気づかせてくれる、ファンタジーでした。


2「あっぱれ、小松!」橋本たかね 作

エドッコ湾を舞台に、海辺の生き物たちのユーモラスな日常が描かれる。

海鳥のボスが代わったことで、平穏だった暮らしが脅かされることに。

マハゼの小松は海鳥のボスを「アッ」といわせるために、ある奇策を思いつく……。

小松のエドッコ風情や、いかにもな悪役がおもしろく、

時代劇のような勢いがありました。


3「ジャンケンポン仮面、ケンザン!」かとうけいこ 作

主人公のマルオはあとだしジャンケンをしたせいで、友だちと険悪なムードになる。

それを知ったじいちゃんは、ジャンケンの極意を教える。

けんかした友だちとは仲直りしたものの、新たな問題が起きて……。

勝つことだけが、いいことではない。

それよりも大事なことがあると、気づかせてもらえる物語です。


4「ぼくのみみ ー時空をこえてー」大川純世 作

主人公はうさぎ。といっても、未来の知性をもった実験用のうさぎだ。

実験用のうさぎが、時空を越える実験をしているとちゅう、

あやまって現代の、たけるのもとに来てしまう……。

実験用うさぎが実験をするという設定がおもしろく、どうなるのか、わくわくしました。

後半、たけるとの冒険をもっと読みたかったです。


5「私は梅ちゃん ー別れの日がやってきたー」すずきたかこ 作・絵

主人公は、庭の梅。

「梅ちゃん」と呼ばれ、家族とともに育ってきた1本の木です。

しかし、ウィルスに感染しているとわかって……。

梅の木から見た家族の歩みと、家族が梅の木に寄せる思いが丁寧に描かれ、

じわじわと、心に染みるものがありました。

昭和のよき映画を思わせる物語です。


ari sasaki