「おさかなポスト」が教えてくれること


『「おさかなポスト」が教えてくれること』

たけたに ちほみ/文 (佼成出版社 1500円+税)

33090547


外来種が日本の生態系を脅かしている、という話は、ちらちらと耳にしてきました。

本書は、「タマゾン川」ともいわれるほど、外来種が増えた多摩川をとりあげています。


多摩川には大変多くの外来種が生息しています。

金魚や錦鯉もいれば、熱帯魚もいるそうです。

「なぜ、南国の魚が日本の川で生きられるのでしょう?」

「外来種が増えると、どうなるのでしょう?」

その答えが、ていねいに語られていきます。


本書の主人公は、いきもの大好き、魚大好き、そして、なによりも子どもが大好きという、

山崎充哲(みつあき)さん。

通称、山ちゃんは、神奈川県川崎市にある稲田公園の生けすで、

飼い主が飼い続けることができなくなった魚やカメを飼育し、

新しい飼い主さんを探す活動をしています。


生けすを管理し、魚にエサを与えるには、お金がかかります。

外来種の生き物を川に捨てないでほしいと広めるために、

イベントを開催したり、あちこちに出向いて話しをしたりと、肉体も酷使します。

でも、山ちゃんは必死で、働きます。


山ちゃんが子どもたちに伝える言葉は、やさしくてわかりやすいですが、

重いです。


作者のたけたにさんは、山ちゃんに教えてもらったことから、こう述べています。

「人間が自然の生態系をこわすと、必ずそのつけが回ってくるのです。

また、いったんこわした生態系を元にもどすには、気の遠くなるような時間が必要です」


生態系の大切さを知っているつもりでも、

自分のしている生活習慣が影響を与えているとは、気づきませんでした。


「おさかなポスト」から見えるのは、

命のこと、自然のこと、私たちにできることーー。


重量感のある内容です。





ari sasaki