大好き! おじさん文庫


『大好き! おじさん文庫』

 深山さくら (文研出版) 1200円+税

ojisannbunnko


山形県の山あいの小さな小学校に、

42年間、本代としてお金を送りつづけた人がいました。

名前を明かさず、手紙とお金を送り続けたのです。

封筒の裏に「鶴岡市」とだけ書かれていたので、

子どもたちは「鶴岡のおじさん」と呼び、

おじさんのお金で買った本は「おじさん文庫」として

大事に読まれるようになりました……。


なぞのおじさんと、子どもたちの交流があたたかくて、

また、おじさんのメッセージがじわじわとしみて、

胸がいっぱいになりました。


手紙を通して知るおじさんの人柄と、子どもたちの思いが丁寧に綴られていき、

大きな出来事が起きるわけではないのに、ぐいぐい引き込まれました。


なぞのおじさんの正体は、なんと42年経って、ようやく明かされます。

そのときには、親子二代で「おじさん文庫」を読んでいた人たちもいるのですから、

すごいです。


おじさんの思い、生き方を知ると、さらに

「おじさん文庫」に詰まったものの大きさを思わずにはいられません。

人と人とを「本」がつないでいったというのがまた、

本に関わる人間として、背筋をのばす思いにもなりました。


中学年から読めるやわらかい文章ですが、

複数の人の人生が詰まった深みのあるノンフィクションです。


















katuo,ari sasaki