黒ねこ亭とすてきな秘密


『黒ねこ亭とすてきな秘密』

長井理佳/作 佐竹美保/絵(岩崎書店)1365円


本書は以前、ご紹介した『黒ねこ亭でお茶を』の続編になる。

おばあちゃんの家で暮らすようになったマリコが、庭でふしぎな出会いをする。

時折、紅茶のお店を出す黒ねこや、「あっちがわ」と行き来するモグラ、編み物が得意なリスの母と子どもたち。

そんなすてきな出会いが、本書でさらに発展していく。


亡くなったおばあちゃんが残した手紙を見つけたことに、物語は始まる。

マリコは親友のスーちゃんといっしょに、なぞ解きに乗り出すが、これがなかなかにむずかしい。

いっぽうで、この庭ならではの“わくわく、うきうき”することが次々に起こる。

そして、最後にそれはそれはすてきな答えが導き出されるのである。


読み終えて、そうか、庭って命の集まりなんだなと、気がついた。

自らの季節を感じ取って、花を咲かせ、実をつける植物たち。

それに集う、虫や小鳥。そして、小動物。


「そこに確かにいるのに、私たちが気づかないでいるもの」

長井さんが描くのは、そんな命たちなのだと思った。


わたしも昔、この世界に行った気がする。

なつかしさを感じるのは、たぶん、出会ったことのあるものたちと、物語の中で再会しているからだろう。


季節ごとの美しい描写に、ほうっと、ため息……。


ari sasaki