イエローカードはぼくらの旗印


『イエローカードはぼくらの旗印』

沢田俊子/著(京都新聞出版センター)1470円

32560400

正直、精神的に参っている。

壮絶な現実を前にして、自分の無力さが情けなく、まごついている。

そんな時、本書が発するメッセージに、とても励まされた。


「あきらめなければ、人の力は無限だと、5年間少年たちを取材して感じました」

と、著者の沢田俊子さんは言う。

本書に登場する子どもたちののびやかな心とたくましさに、

私もこうありたいと、立ち上がる気持ちになった。


主人公は脳性まひの雄也。

生まれてから一度も自分の足で歩いたことのない雄也が、

電動車いすサッカーと出会い、スポーツを通して仲間たちと成長していく姿が描かれる。


仲間たちは、脳性まひや筋ジストロフィーといった病気を抱えている。

車いすで移動する点は同じでも、できること、できないことは一人一人違う。


雄也は思うように電動車いすをコントロールできないことにジレンマを感じる。

加えて、仲間たちと互いの気持ちを理解しあえないことにも、とまどう。


そんな時、萬年補欠の遼太が、レギュラーになる秘術をあみ出したと言い出した。

とっておきのワザは、イエローカードをどんどんもらうこと。

マイナス評価をもらうことを恐れずに、堂々と自分のプレーをする、という意味だ。


それぞれの個性を認め合い、力を合わせて勝利を得ていく過程に、ぐっとくる。

スポーツドラマと同じ感動を覚えるが、ひとつだけ違うのは、彼らが「死」に近いところで生きているということだ。


道路で転倒する、風邪をこじらせるなど、ささいなことが「死」の接点になりかねない。

そのことも納得したうえで、雄也たちは果敢にチャレンジしていく。


雄也たちを知った今、「できない」「ムリ」とは簡単に言えなくなった。

できるようになるためには、どう工夫したらいいのか。

私がやるべきことは何だろう。


震災以来、弱り気味だったけど、力が湧いてきた。


本を通してだけど、君たちと出会えて良かった。


おばさんだって、あきらめないよ。


心の底に眠っているものを、今こそ、生かしたい!





katuo,ari sasaki