トリガー


『トリガー』

いとうみく著 装丁/城所潤 装画/日端奈奈子 (ポプラ社) 1400円+税

trigger


中学2年の音羽(とわ)は、

親友の亜沙見(あさみ)を重く感じていた。

その夜、亜沙見の親から、亜沙見が家に帰って来ない、という連絡を受ける。

音羽の頭に浮かぶのは、

亜沙見が「死」に関することばかり話していたこと……。


いとうみくさんの著書には、家族ごとに異なる「家族のかたち」が表される。

本書も、登場する子どもたちそれぞれに、異なる家庭背景がある。

家族の重い話って、友だちにはしにくいよね。

わかってもらえないだろうし、

場の空気を読んで、楽しく盛り上げられる子が好かれるしね。


いろいろ経験して大人になれば、

同じ状況でもちがう見方や受け止め方ができるし、

言っていることがその人の本音を表しているわけでないというのもわかる。


でも、思春期は「今」と「自分」のことで精一杯で、

それがすべてだから、苦しい気持ちでいっぱいになってしまう。

目線がちがう大人の声は、子どもの心にはなかなか届かない。

けど、まったく届いていないわけでもないんだよね。


細い線の上を歩く子を利用するビジネスというのも世の中にはあるから、読んでいて、どっちに倒れてしまうのか、ハラハラした。


「ここ」に踏みとどまることができたのは、

のばしてくれた手があったから。


現実のいまこの時も、きわどい線の上を歩いている子がいるのだろう。


読み終わったあとも、いまどこかにいる子のことを考えてしまう。

リアルな物語です。
























katuo,ari sasaki