マイヤ・プリセツカヤ たたかう舞姫


『やさしく読めるビジュアル伝記9 マイヤ・プリセツカヤ たたかう舞姫』

文/金治直美 絵/城咲綾 監修/村山久美子 (学研)950円+税

tatakaumaihime


マイヤは、踊ることが好きな少女として育ちます。

しかし、生まれ育ったソ連では当時、国民をしめつける政治を行っていました。

父と母が警察に捕らわれるなど、マイヤはつらい幼少期を送ります。

そしてバレリーナになってからも、苦境が続くのです……。


読むと、「たたかう舞姫」というタイトルがいかにぴったりか、わかります。

特別な才能があったから、有名なバレリーナになれたのね、

なんて軽い言葉で言えない、大変な人生です。


何度となく拒否され、制限され、打ちのめされて、

それでもなお、好きなバレエを諦めず、

新しいバレエの表現を開拓していった、

その強さに拍手せずにはいられません。


伝記でむずかしいのは、時代背景を描くことです。

高学年向けの本ならば、説明しやすいのですが、

本書のように低学年から中学年向けの本となると、

伝えるのがとてもむずかしくなります。


けれども、その人物がなぜそういう決意をし、行動したのかを伝えるには、

時代背景が欠かせません。

本書を読んでいると、この時代の空気に触れているような心地になります。

それだけ厳選された言葉で、わかりやすく表現されているのでしょう。


作者の「あとがき」である「人物について」は、

金治さんのマイヤへの思いが詰まっていて、

その言葉にまた胸がいっぱいになりました。


「すべての人が、あなたの強い意志と、つきることのないエネルギーに、

勇気をもらえることでしょう。」


まさにその通り。


本当にこういう人がいたんだという憧れを抱くことで、

わたしもがんばろうと思わせてくれるのが、伝記なのですね。




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