さよ 十二歳の刺客


『さよ 十二歳の刺客』

森川成美・作 槇えびし・画 (くもん出版) 1400円+税

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平家の姫さよは、身分を隠して生きてきた。

胸に秘めた望みは、復讐。

平家を滅ぼした、源氏の総大将だった源義経を殺すことだけを目的に、

ここまで生きてきたのだ。

そんなさよが義経の息子の遊び相手として、義経がいる屋敷で暮らすことになり……。


さよしかり、『アサギをよぶ声』のアサギしかり、

森川さんが描く女子は、戦いの渦に巻きこまれながらも、

ただ翻弄されるだけでなく、自ら生き方を選びとる強さを持っています。


時代は変わっても、いまなお女性が思うように生きていくのを阻むものがありますから、

さよに感情移入して読む人もいるでしょう。


さよになって読み進めていくと、

ものごとの見方も、人物像もひとつではないということが、見えてきます。

なにかが起きるときは、たったひとつの要因で起きるものではなく、

いくつもの要因が重なっていること。

また、真実はひとつではなく、立ち位置によって、変わるということ。

人もまた経験によって考えが変わり、ずっと同じではないということ。


その時々でなにを感じ、なにを選ぶか——。


本書の登場人物はみな、自分で選んだ結果を、言い訳をすることなく、

覚悟を持って引き受けます。


読み終えたあと、お前はどうするのだと、問われるような重みがありました。

ずしりと心に残る時代小説です。





















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