シーラカンスとぼくらの冒険


『シーラカンスとぼくらの冒険』

歌代朔/作 町田尚子/絵(あかね書房)1365円

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地下鉄のホームのベンチに座り、電車を待っていたボク。

ふと、気がつくと、いつのまにか、となりに人がいた。

いや、人じゃなく、大きな一匹の魚。シーラカンスだったーー。


奇想天外な出だしに、ぎょっとしつつも、

読むほどにぐんぐん引き込まれていきました。


シーラカンスがフツーの日常にいる非日常感。

そこになじめず、否定して遠ざけたいボクと、

夢中になってしまう、天真爛漫なアキラ。


ファンタジーにありがちな、「そういうものだ」という決まりきった世界でなく、

二人の相反する反応があることによって、

奇妙な出来事が現実味を帯びて、せまってきます。


そうして二人の心理が動くに従って、

シーラカンスが存在する訳も解き明かされていくのですが、

これがまた説得力を持ってせまってくるんです。


それもそのはず、ただの想像にとどまらない、

進化の歴史に裏付けられた理論がきちんとあるからなんですね。


シーラカンスとの出会いと別れ。

小学校を卒業するという、ひとつの終わりと、未来の始まり。

生命の神秘。その継続、進化……。


複数の道が交差して、またはなれていく。

そのみごとな展開と終決に、うなりました。


読み応えがありすぎて、これが作者の初の単行本だと言うのが、

信じられません。


すごいファンタジーです。


もう一度、読み返そうと思っています。




ari sasaki