ケータイくんとフジワラさん


『ケータイくんとフジワラさん』

市川宣子・作  みずうちさとみ・絵 (小学館)1250円+税

ketaikun


電器屋さんで売れ残っていたケータイくんを買ったのは、

ケータイ電話はおろか、家の固定電話でさえ使ったことがない、フジワラさん。


あんなじいさんに買われたら、ほとんど使ってもらえない

と、最新のスマホやケータイたちはいやがります。


けれども、フジワラさんはモノをとても大事に使う人で、

ケータイくんはしだいに、幸せを感じるようになります。


フジワラさんもケータイくんのおかげで、

いろいろな人との交流が広がっていきます。


ところが、ケータイくんは自分が原因で、フジワラさんに危険が及ぶと気づいて……。


この物語が社会に示唆することは多々ありますが、

それ以前に、持ち主を思うモノたちの様子、人々のつながりに、胸を打たれます。


受け身でしかいられないであろうモノたちが、

自分の意思をもって、持ち主のために一肌脱ぐシーンには、

じんわり涙がにじみました。


本書を読んで思いだしたのは、幼い頃の息子でした。

息子はひとつひとつのモノに人格のようなものを感じていたらしく、

モノをなくすと、自分を責めました。


ぼくがなくしたせいで、そのモノがさみしい思いをしている。かわいそうだ……と。


息子のような感受性を持った子は、少なくないでしょう。

そんな子にとって、

モノのやさしさ、活躍に触れられるこの物語は特別なものになると思います。

















ari sasaki