4年2組がやってきた

『4年2組がやってきた』

野村一秋・作 ささきみお・絵 (くもん出版) 1300円+税

4-2


しゃべれない、歩けない、手もうまく動かせない。

脳性まひのマーくんひとりだけの「にじ組」に、

週に1回、4年2組がやってきて、交流することになり……。


この物語はフィクションですが、もとになったエピソードがありました。


私がすごいなと思ったのは、マーくんの一人称で物語が展開することです。

作家として無難な構成をするなら、4年2組のだれかを主人公にしたと思うのです。

でも、あえてマーくんから見たものを描いた。

ここに作家の気概を感じました。


4年2組との交流は、マーくんが希望してはじまったことではありません。

ですから、4年2組の子の目線で描いてしまうと、

押しつけの自己満足になってしまうかもしれません。

自己満足ではなく、マーくんがどう感じたかを描くことが、

マーくんを感じることになるのだと思いました。


マーくんの感情表現は、ほかの人には伝わらないことが多いはずです。

ちょっとした表現のちがいが、マーくんにとってどれだけ大きな成長なのかは、

マーくんがいる位置にしゃがんでみないと、わからないのでしょう。


4年2組のみんなは、それぞれの感性でマーくんを知ろうとし、仲よくなろうとします。

相手を知りたい、できるだけ汲み取りたいという気持ちが、

思いやりになるのだなと、本書を読んで思いました。






ari sasaki