ゆず先生は忘れない


『ゆず先生は忘れない』

白矢三恵/作  山本久美子/絵 (くもん出版) 1200円+税

teacheryuzu


ゆず先生が子どものときの震災体験を語り、

クラスの子どもたちが感想や意見を言う流れで、物語が進んでいきます。


電話が通じず、被災地に入れない状況で、家族の身を案じる様子。

被災地から少し離れただけでも、人ごとになってしまう現実。


人それぞれの反応に、心がゆさぶられます。

自分だったら、どう思うだろう。

ちょっといやだと思った反応を、自分がしないといえるだろうか。


ゆず先生は事実を淡々と話すだけで、問いかけるわけではありません。

ですが、ストーリーの子どもたちと同じように、

私も自分の心に問いながら、ゆず先生の話に聞き入ってしまいました。


はじめのうち、ゆず先生は震災の怖さについて教えたいのかと思いました。

けれども、読んでいくうちに、ちがうことに気がつきました。


ゆず先生が、本当に教えたいこと。

ゆず先生の思いがわかったとき、私はあふれてくる涙をとめられなくなりました。


作者の白矢さんは、阪神・淡路大地震の数日後、

連絡のつかないお父さんとお母さんを心配して、神戸の街に入った経験から、

この物語を書いたそうです。


天災が起きるのを防ぐことはできません。

けれども、起きたときにどうするか。

この物語で感じたことを、覚えておきたいと思いました。








ari sasaki