亡霊クラブ 怪の教室


『亡霊クラブ 怪の教室』

麻生かづこ/作 COMTA/絵 (ポプラ社)683円



怪談話といっても、単に霊的なものが出てくるだけではない。

「一番怖いのは、生きている人間なのよ…」

という 帯のキャッチコピーどおり、人の心理をついてくる短編集だ。


人の気持ちというのは流動的で、

他人を思いやるやさしい気持ちにあふれていることもあれば、

ひがんだり、いじけたりして、だれかの不幸を願ってしまうこともある。


弱い心で起こした行動が思いがけない方向へどんどん転がっていき、

やがて最悪の結果につながっていく……。


4話あるなかで、特にひんやりした気持ちになったのは『終わらない一日』。

好きな男の子に告白する女の子の物語だ。


期待と不安の入り交じったドキドキ感。

自分と同じように、相手にも想ってもらいたいという願望。

だが、その想いが通じなかった時、どうするのか。


ラスト、ストーリーテラーである花子さんの言葉が印象的だ。

「こんなふうに、たまに自分の思いこみの中にとりこまれてしまう子もいるのよね」


絵空事だと退けられない、現実的な恐怖が迫ってくる。


どの話も、だれもが経験する心の動きが描かれている。

この心理を知っておくのと、まったく知らないのとでは、

今後の生き方がかなり変わってくるんじゃないだろうか。




ari sasaki