ヒロシマ8月6日、少年の見た空


『ヒロシマ8月6日、少年の見た空』

文・井上こみち 絵・すがわらけいこ (学研)1300円+税

hiroshima

たった12歳。

広島に落とされた原子爆弾により命を落とした十数万人のひとり。

それがモリオです。


十数万人という数で原爆をとらえるのではなく、

モリオの12年5カ月の軌跡をたどっていくと、

ちがう景色が見えてきます。


3人姉弟で末っ子のモリオは、家族にかわいがられて育ちます。

この頃の少年らしく、お国のために役立つことに、憧れていました。

それがどういう結果になるのか、知らないまま……。


父は海軍の軍人で、長く家を留守にすることもあっただけに、

広島への引っ越しで、ようやく家族いっしょに暮らせることを、

モリオはとても喜びました。


しかし、家族4人のくらしは、長くは続きませんでした。

モリオが勤労奉仕の作業中、原爆が投下されたのです。


戦時中は国家総動員法により、国民はみな、お国のために働かなければならない、

とされていました。

勤労奉仕もその一環です。


8月6日の原爆投下後、家族はモリオを探します。

生きていたモリオを見たという情報が入ってきますが、

いたはずの場所に、モリオはいませんでした。


どこかで手当てを受けているのかも……。


あきらめずに探し続ける家族の姿が痛々しく、心に刺さります。


物語のなかでは、

軍国主義のもとで人々は戦争をどうとらえていたのか、ということも感じられました。


このころの感覚、いまと比べて全くちがうといえるでしょうか?


戦争を知らない世代として、胸に刻みたい物語です。






ari sasaki