11歳のバースデー あたしだけのスマイル・リップ


『11歳のバースデー あたしだけのスマイル・リップ』

井上林子/作 イシヤマアズサ/絵 (くもん出版)1100円+税

11birthday1


思春期の入口に立った、小学5年生の5人それぞれの誕生日を綴るシリーズ。

1巻目は、フツーの子という範疇に入るであろう春山ましろが主人公。


ましろにとって、5年生最初の班は最悪といえるメンバー。

なにをしても、みんなと同じペースにはできないけど、とてもやさしい和也くん。

は唯一、ましろにとっては癒しの存在だけども、

自己中心的なアンナ、いじめっ子の一秋、無口でなにを考えているかわからない晶と、

てんでバラバラのチームに、ましろは困惑する。

しかも、このメンバーで春の山登り遠足をすることになり……。


トラブル続きの中で、メンバーそれぞれの心の動きや、家族関係まで

ちらほら見えてきて、少しせつなくなりました。


本書ではまだわからない気持ちや背景が、これから明らかになっていきそう。

それぞれに抱えている事情があるんだろうなと、

うっすら思える描き方が秀逸です。


11歳って、子どものままではいられない、ちょっと面倒な年頃なんですよね。

そんな年頃のましろが、誕生日に少し成長したように感じられ、

清々しい読後感がありました。


メンバーはどの子も必ずクラスにいるタイプだし、

読めば、自分に似ていると感じられる子がいるはず。

きっと、読者は感情移入してしまうことでしょう。


1巻1巻が手頃なページ数なので、長編には手がのびない子も

読みやすい体裁だと思います。


ari sasaki