ラブ・ウール100%


『ラブ・ウール100%』

井上林子/作、のだよしこ/絵 (フレーベル館)1300円+税

33012691


中学生の頃って、確かにこんな感じだったなーと、

チリチリとした痛みのようなものを思い出しました。


中学1年生のアミコは10月という中途半端な時期に転校。

大親友と遠く離れ、今の学校が少しも良く思えない日々を送るようになります。

ところが、図書室で手にとった編み物の本によって、毎日が急変!

なんと、本のカバーの裏側に、秘密のお誘いがあったのです。


誘いにのって訪ねた「ニットカフェ・モヘア」で、

アミコは少し変わった子たちと出会います。

学校ではとても気が合いそうもないと、近づかないようにしていた子たち。

でも、編み物を通して、だんだん相手のことがわかってきて、

いつしか、アミコにとって大事な友だちになっていきます。


中学生のリアルな生活と、小さなファンタジーが混じり合う、不思議な物語。

けれども、アミコの気持ちが手にとるように伝わってきて、

ぐいぐい引き込まれます。


これは、自分のことを書いている物語だ!って思う読者、結構いるのではないでしょうか。

控えめにしてきたアミコが友だちのために思いきった行動に出るシーンなんて、

最高にスカッとします。


林子さんは、登場人物の気持ちを丁寧に描くのがとにかく上手い!

ひと目ひと目を大事に編み込むように、登場人物に寄り添って言葉を選んで

書いているのが伝わります。


読み終わった時、ほっと、あたたかい気持ちになれるのは、

いい気持ちも、消したい気持ちも両方すくい上げてもらえたからかなと思います。


手編みのマフラーのぬくもりを感じる、ぽかぽかストーリーです。

ari sasaki